牛・豚などの陸上畜産と比較し、魚が環境負荷の少ないタンパク源である理由を紹介。未来志向の魚食。
肉よりエコ?魚が地球に優しい理由
畜産由来の温室効果ガス排出は世界全体の約14.5%に及び、牛のゲップに含まれるメタンはCO₂の20~25倍もの温室効果を持つと言われます。例えば1kgの国内産牛肉の生産では約23.1kgのCO₂を排出し、豚肉は7.8kg、鶏肉はその半分程度に抑えられるとの試算があります。一方で多くの魚介類のカーボンフットプリントは1~2kg程度に過ぎず、マグロなど一部を除けば鶏肉並み、またはそれ以下というデータもあります。さらに魚は摂取したエサを効率よく成長に変換できる優等生です。養殖魚1kg を育てるのに必要な飼料は平均1.1kg ほどで、鶏の1.7kg、牛の6.6kg と比べ格段に少なくて済みます。省エネ・省資源で高タンパクを実現する魚は、まさに地球に優しいタンパク源なのです。
土地も水も節約、海の恵みのチカラ
牛など陸上の家畜を育てる背景には、広大な土地資源と水資源の消費があります。穀物を栽培し家畜に食べさせ…と間接的に膨大な資源を要するのです。例えばトウモロコシ1kgの生産に約1,800 リットル、牛肉1kg にはなんと20,000 リットルもの水が必要だとされます。対して海の魚は海水を生息環境とし、私たちが使える0.01%の貴重な淡水をほとんど必要としないのが大きな強みです。また人口増による食肉需要の拡大は、2050年までに南米大陸に匹敵する面積の新たな農地を要すると予測されています。これは森林破壊による生物多様性喪失やCO₂吸収源の減少にも直結します。しかし魚の養殖や漁業は、陸上の大規模な農地を拡大せずに食料生産を増やす道を切り拓きます。海という広大なフィールドを上手に活用できれば、限られた土地や水の資源を節約しながら持続的にタンパク源を供給できるのです。
焼き魚と刺身で描く未来の食卓
和食の朝ごはんの定番である焼き魚定食や、ハレの日を彩る刺身の盛り合わせ。そんな身近な魚料理こそ、未来のサステナブルな食卓の主役になるかもしれません。魚は適切に獲れば環境への悪影響を最小限に抑えられることが指摘されています。実際、世界ではMSC認証に代表される「海のエコラベル」が普及しつつあります。これは水産資源や海洋環境に配慮した持続可能な漁業によって獲られた天然魚介に与えられるお墨付きで、この青いラベルが付いたお魚は安心して選ぶことができます。豊かな海の幸を次世代に引き継ぐため、私たち消費者も賢い選択を心がけたいものです。お肉中心だったメニューを今日から一品、地球に優しいお魚料理に置き換えてみませんか?焼き立てのサンマや新鮮なお刺身をほお張る幸せが、そのままサステナブルな未来につながっていくのです。