急速冷凍による鮮度維持は流通形態も変えました。漁港から都市への直送サービスが続々と登場し、産地の味が家庭に居ながら届く時代です。例えば富山県では、氷見漁港で競り落とした旬の魚を刺身用に加工して急速冷凍し、定期便で直送するサービスが展開されています。真空パックされた刺身スライスが必要な分だけ届けられるため、海外の市場でさえ「鮮度の良い刺身」を好きなタイミングで提供できるようになったといいます。また各地の自治体も冷凍技術を活用し、ふるさと納税の返礼品として高鮮度の海産物をアピールしています。北海道鹿部町の「漁師応援プロジェクト」による《北海道産 冷凍鮮魚セット(最大4.5kg)》では、獲れたてのホタテやホッケ、カレイなどを下処理して瞬時に冷凍、たっぷり詰め合わせて冷凍便で届けています。こうした大容量の直送セットなら、都市にいながらにして旬の海の幸を存分に堪能できるでしょう。 さらに冷凍魚加工品の多様化も見逃せません。電子レンジで温めるだけの味付け魚パックや、解凍するだけで丼になる海鮮漬けセットなど、忙しい都会の生活に合わせた商品が次々と登場しています。冷凍技術のおかげで魚料理は「その場で買ってすぐ食べる」ものから「好きな時に解凍して食べる」ものへと変貌を遂げました。都市生活者はもはや鮮度を妥協する必要がありません。急速冷凍が実現した高品質な冷凍魚が、日々の食卓に新たな彩りと可能性をもたらしています。これぞまさに、現代の“鮮度革命”と言えるでしょう。