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漁の演歌
お父様が亡くなられた当時のことを遠藤さんは話してくれた。
「最後のときは家族みんなが病室に入って、親父の枕元で漁の演歌とかかけてあげたよ」
「お父様は漁の演歌がお好きだったんですか」と尋ねると
「まあねえ。船を作ったときもそういう音楽を流すでしょ、演歌とか。」
と教えてくれた。
漁の演歌にはどんな歌があるのかお聞きすると
「いろいろあるよ。鳥羽一郎とか北島三郎とかさ。船を作ったときもそういう音楽を流すでしょ。景気づけとかあるからね。」
漁の演歌が気になり後日調べてみると
進水式の祝い歌として鳥羽一郎さんのデビュー曲「兄弟船」が人気らしい。
鳥羽一郎さんは17歳から5年間、マグロ船やカツオの1本釣り漁船に乗っていた。
マグロ船は遠洋漁業のため1年近く日本へ戻れない。長く過酷な鳥羽さんの航海を支えたのは演歌だったという。
遠藤さんのお父様も、演歌を聞いて心を奮い立たせることはあったのだろうか。
