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開きの技術
「今工場の中でキンメダイを開いてますよ」
と代表の関根さんが案内してくれた。
作業台の上に真っ赤なキンメダイがたくさん積まれ、5名ほどの従業員の方が手際よく手で魚を開いている。
関根さんが一尾のキンメダイを手元にひょいと持ってきて、
「腹の、胸ビレの下あたりから包丁を入れ、しっぽに向かって開いていきます。最後にアゴを割って開きが完成です。」
手を包丁のように動かしながら「腹開き」の方法を教えてくれた。
兼多水産では今でもキンメダイを手で開いている。きれいに開けるそうだ。
「親父はすごく器用で何でもできたので、そこからうちの干物づくりの技術が始まったと思います。私は現場にいたおふくろや叔母から魚の開き方を教わりました。」
と関根さん。
「創業当時から働いてくれた人たちが70や80代になり、高齢化でどんどんいなくなっていきました。創業からいるのは勤続50年以上の叔母くらい。今は水場をみてくれています。」
5年前に当時20代だった若い従業員が入ったという。
「その若い人が今、新しく入ってくる人たちに開き方を教えてくれるようになりました。」
と関根さんは話す。
創業から64年。先代から始まった干物づくりの技術は、脈々と受け継がれている。
